第5回ヤングセミナーレポート
人間塾第12期生 佐々木果音
(国際基督教大学大学院)
去る5月23日、第5回ヤングセミナーが開催されました。在塾生と修了生が共に参加し、議論を交わす土曜日開催の拡大セミナーとしては、今回が2回目です。

今回は、前回説明された「人間塾での学びが導く6つのサイクル」のうち、3つ目の「内的対話・自己理解の深化(Internal dialogue)」が取りあげられました。参加者は、「今いちばん大切にしていること」「最近心が動いた出来事」について考え、それぞれの思いを共有しました。努力が報われた経験や、映画を通して得た気づきを語る人、苦しさを抱えながらも前に進もうとする人もおり、内容は実にさまざまでした。
なかでも印象に残ったのは、ある修了生のお話です。その方はデザインの分野で働くなかで、再現性や商業性、言語化を求められる一方で、彫刻家であるご兄弟との対話を通じて、直感や感覚、心で味わうことの大切さを思い出したそうです。良いと感じるものを必ずしもすべて言葉に置き換える必要はなく、感覚的なものと言語化との間を往復することを心がけている、というお話でした。

これに関連して、ドイツでピアノを学んでいる修了生からは、バッハの音楽についての気づきが共有されました。バッハといえば形式的な美を追求しているという印象がありましたが、実際には即興的に演奏したり、修飾音を取り入れたりするなど、形式にとどまらない自由さをも持っていたとのことでした。バッハもまた、形式的な美と修飾的な美との間を往復していたと考えられます。
塾長は、人生もまたこの「往復」であると述べられました。自分自身のなかに一本の軸を持ちながらも、予期せぬ出会いや直感、勘に応じていくことも必要であり、これを往復することで、「こうあらねばならない」という規範を手放し生きることができるのです。

人間には、物事に白黒をつけたり、決めつけたりしてしまう傾向がありますが、今回のセミナーを通して、その間にある灰色をどのように受け止めるのか、相反するものをいかに理解するのかについて、「どう生きるのか」という観点から考えることができました。日々の慌ただしさの中でも、言葉にできるものと、言葉にならない感覚の双方を大切にしながら、自己理解を深めていきたいと思います。



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